晴れのち雨
走り続けて5分が経ち、約束の6時を過ぎていた。
ビルまであと半分。
履いてきたヒール付きのブーツのせいで、いつもより上手く走れない。
脱ぎ捨てて走りたいくらいだった。
背伸びして履いて来るんじゃなかった。
オシャレなんかしなきゃ良かった。
ライターなんか買うんじゃなかった。
雪の降る中、溢れる涙を拭きもせず、白い息を切らしながら走っていると...
ブチッー
鞄に付けていたシュウから貰ったストラップが千切れて、溝に落ちてしまった。
立ち止まり溝の中を覗いて見たが、思った以上に溝は深く、取り出すのに時間がかかりそうだった。