晴れのち雨
ビルに着くと
そこには誰もいなかった。
あの日降っていた雨は
雪に変わったように
私と先生がいたこの場所には
今は私一人。
分かってた。
今の時刻はもうすぐ6時15分を告げようとしていた。
全然間に合わなかった。
だけど、優しい先生なら待ってくれてるんじゃないかと、どこかで信じて甘えてた。
流石に5時から待ってたんだもん。
約束の1時間を15分も過ぎちゃったんだもん。
だけど...だけど...先生。
私は貴方に会いたいんです。
最後に一度だけ会いたいんです。
もう一度、貴方に想いを届けたいんです。
出来るだけ貴方から悲しみを取り除きたいんです。
何が悲しくて哀しいのか分からないくらい涙が溢れ止まらなかった。
優しくなった雪を少し憎い奴だなと感じながら一歩踏み出すと
コンコンー
静かな雪の中に響いた。