晴れのち雨
ただ優しく頭を撫でられただけなのに
不安は消えて心が穏やかになった。
「寒いし車に乗ろう。」
先生の提案に頷きかけて
「あっ!でも服も髪もグショグショだからシートが濡れちゃう...」
と、取り敢えずは先生と一緒に立ち上がったものの、一歩が踏み出せない。
カタンー
落ちた先生の傘を目で追っていると
先生に抱きしめられていた。
「ちょ...先生?!」
突然の事で何が起こったのか分からないでいると
「ほら、これで俺も濡れてもうたから大丈夫。」
と私から離れて傘を拾うと
私の手を引いて車へ向かう。
助手席のドアを開けて、私が座るの確認すると優しくドアを閉めて、運転席へと向かう先生。
そんな先生を見つめながら、煙草の香りがしない車に乗っていた。
車のボンネットには薄っすら雪が積もっていて、嬉しい気持ちになった。