晴れのち雨

approach



「遅延...って言ってたけど、どっか出かけてたん?」

運転しながら訊いてきた。

「はい。クラスのクリスマスパーティーに行ってました。」

「良いな〜青春やね。」

信号に引っ掛かり、車が止まる。



「敬語禁止やで。」

「今からですか?」

「そう。少しは練習した方が良いやろ?
何なら、今日はずっと敬語使わんくて良いで。塾生徒でも使ってへん奴おるしな」

ははっ、と笑うと運転を再開した。




「クラスに気になる男子とかおらんの?」

先生がこんな質問をすると思ってなかったので驚いた。

「いないよ。クラスには。
目の前にはいるけどね。」

さらっと押しぎみ答えた私を

「お主、中々の遣り手じゃのぉ...
んじゃあ、好きなタイプは?」

とすんなりかわしてしまった。

「タイプかぁ...
優しくて、面白くて、笑顔が素敵な人!あとイケメンだと有難いかな。先生は?」

「俺も優しい人が良いかな〜
でもって、黒髪ロングで目の大きくない純日本人風やと嬉しいかな〜」

「純日本人こだわるね。」

そう言いながらチラッと窓の反射を利用して、自分の顔を見た。




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