Firstly
そっとベールを掴まれ持ち上げられていく。

徐々に視界が光に溢れていくのを何の感慨もなく見つめていた。

あー昼寝したい。

今更ながらに今日っていい天気ーなんて思った瞬間、大きく見開かれた蒼玉の瞳と目があった。

見つめ合ったまま長い沈黙。

「…。」

やがてシュリアナの頭には、この人どうして動かないんだろ?とか証を交換しないといけないんじゃないっけ?などの疑問が浮かぶ。

「…リ、リヒーザルト殿下?」

長い沈黙に同じく疑問を抱いた神父が呼びかける。

突如響き渡る金属音。

静寂を突き破るような音に王子の従者が反応する。

「リヒーザルト様?!」

途端にグイッと押しつけられた頭。

は?
シュリアナは急に男の胸元へ顔を埋めさせられ困惑する。

「見るなっ!!」

頭上から発せられた鋭い声に従者も神父でさえ後ろを向いたのが分かった。

それを確認したのか腕の力が弱まりシュリアナは慌てて一歩下がる。

すると男は先ほど落としたであろう金属を俊敏な動作で床から拾い上げた。

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