Firstly
やっぱ、いい天気ー。

辺鄙な場所にある邸宅は庭の一角と林が隣接していて、正直、どこまでが庭なのかわからない。

そこはほどよい木漏れ日が当たる散歩道になっていてシュリアナの隠れ場所の一つだった。

今もヨディ爺さんを探しながらも（おそらく爺さんは温室にいるだろうと分かっていながら）のんびり散歩を楽しんでいた。

あー領地に帰りたい。

シュリアナは幼少期のほとんどを過ごした田舎の領地が大好きだった。

そこらの子供達と裸足で野山を駆け回る生活をしていたのだ。

それが11歳になるといきなり帝都に連れて来られ最初の婚約をさせられた。

貴族の娘ゆえに政略結婚は当たり前だと分かっていたが、そのまま、行儀見習いとして城に上げさせられたのだ。

窮屈で退屈な生活は一年半続いた。

婚約が破談になり（よくある事なので気にしていない）領地へと帰れたが、一年後にはまた縁談のため帝都へ呼ばれた。

数件あった縁談はすべて婚約までいかなかったのだが、花嫁修業として今度は修道院に入らされた。

そこから出られる条件に今回の偽装結婚があったのだ。


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