ハッピーエンドの法則
馬鹿みたいに『ゆーくん、ゆーくん』と僕の名前を連呼して、適当に相手してやると心底嬉しそうに笑う。
最初は意味が解らなかった。解らなすぎて、意図的に心を読んだことすらある。
梨乃の心の声はいつだって至ってシンプルだった。
元々面倒臭いことを考えるのが苦手なのか、雑念がほとんど無い。だから普段心を読むと気分の悪くなる僕がそうならない唯一の例外だ。
『眠い』『楽しい』『疲れた』『遊びたい』『勉強したくない』
そして1番多いのが。
『ゆーくんが好き!』
……気分は悪くならないが、慣れるまではこっ恥ずかしかった。