背中ごしの恋
少しでも気を引きたくて、涼介に抱かれながら隣り合わせの部屋の壁に手をついて、ずっとあなたを求めてた。

緊張で張り付く喉。彼の胸ポケットに無造作に詰め込まれたネクタイを目にして、今度は胸が打ち震えた。縋るように見つめると、私の髪を一房取って口づける。

「過ぎた悪戯には、罰を与えないとね」

玄関から聞こえてくる物音が、涼介の帰宅を伝えている。すっ、と離れていく熱。タイミングを見計らったように開かれたリビングの扉。恋人はいつもと変わらない笑顔を私に寄こした。

その笑顔に微笑みかえして、けれども私の視線は、彼の肩越しに漣さんの背中を追っていた。
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