大人の関係
「美沙ちゃん。今日何か予定ある?一緒にご飯に行かない?」
「・・・あ」
「ごめん。いいよ。一人で食べに行くから」
美沙がちょっとためらったのを目ざとく見抜いて春美は即座に言った。
「あ、いや。うちで食べないかな?と考えてたんで。どこか行きたいお店とかありました?じゃなければ何か作りますから、うちで食べません?」
何か焦ってしまい、逆に家に誘ってしまった。
少し目を細めて春美は首をかしげる。
「じゃあ、ご飯食べたらすぐ帰るね。いいかな?」
春美はのんびりしているように見えて、とても観察眼が鋭い。
きっと美沙が言いたくない予定があることを見抜いてしまったようだ。
長野が来るとは言っても、おそらく9時は過ぎるだろう。
「ぜひ来てください。何が食べたいですか?私、先に帰ってご飯作ってます」
「ん~。何でもいいよ。じゃあ、佐藤さん帰ってきたら美沙ちゃんの家に行くね」
「はい。気を付けて来てくださいよ」