大人の関係
「いらっしゃい」

ドアを開け出迎えるとドアを閉めるのももどかしい様子で、長野が美沙を抱きしめた。

そのまま耳元にそっと口づけ、会いたかった。と囁く。


美沙はドアのカギを閉めないと。とどこか冷めた考えを追い出し、長野の背中に手を回し抱きしめ返した。



長野の匂いが鼻をくすぐる。
フレグランスは付けているが、上手な付け方なのだろう。
フレグランスの香りが強すぎる事がなく、心地よく香ってくる。
フレグランスと体臭の混ざった長野の匂いを嗅ぐとなぜか落ち着く。


きつく回していた腕を緩め、長野は美沙の頬にキスを落とした。


唇にも優しいキスが何度も降ってくる。

美沙はもっと深いキスをねだるように背を伸ばし、唇を合わせる。


だが長野の唇はすぐに離れ、角度を変え、焦らすように何度も何度も触れるだけのキスを降り注いだ。
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