たべちゃいたいほど、恋してる。②
龍之介はギュッと眉間にしわを寄せ苦しそうに浅い呼吸を繰り返す。
それに更に慌て出す優衣。
こんな時どうしたらいいのか。
優衣は皆目見当もつかない。
(怪我なら手当てできるけど…)
看病などほとんど経験のない優衣にはわからないことだらけで。
今にも泣き出しそうな瞳を揺らしながら、その手をオロオロと行ったり来たりさせていた。
だから気付かない。
龍之介の唇の端が、ゆるりと意地悪く引き上げられたことに。
「…ゆい」
机に伏せたまま顔だけを優衣の方に向け、ゆっくりとその名前を呼ぶ龍之介。
普段よりも幾分幼い声でそれは部屋に広がる。
優衣はそんな声色に心配そうに顔を歪めながら龍之介のもとへ近づいた。