たべちゃいたいほど、恋してる。②
その時優衣はようやく気付いた。
(だ、だまされた…!)
だがそう思ってももう遅い。
ちらりと熱を感じる方を見れば、優衣の左手はがっちりと龍之介の右手に捕獲されている。
それは痛みを伴うことはないけれど、離れることの出来ない強さ。
ぐいっ
「ひゃっ」
そのまま腕を引かれ、気付けばあっという間にゼロになった二人の距離。
数枚のレポート用紙が風に舞った。
龍之介の膝の上に雪崩れ込むようにして座らされた優衣は、恥ずかしそうに顔を背ける。
俯いた髪の隙間から見てる耳と頬は赤く染まっていて。
(心臓の音、聞こえちゃう…っ)
ドキドキと高鳴る胸の音。
その音が今にも龍之介に届いてしまいそうだと優衣は思った。