たべちゃいたいほど、恋してる。②




その時優衣はようやく気付いた。




(だ、だまされた…!)




だがそう思ってももう遅い。


ちらりと熱を感じる方を見れば、優衣の左手はがっちりと龍之介の右手に捕獲されている。

それは痛みを伴うことはないけれど、離れることの出来ない強さ。



ぐいっ




「ひゃっ」




そのまま腕を引かれ、気付けばあっという間にゼロになった二人の距離。


数枚のレポート用紙が風に舞った。


龍之介の膝の上に雪崩れ込むようにして座らされた優衣は、恥ずかしそうに顔を背ける。

俯いた髪の隙間から見てる耳と頬は赤く染まっていて。




(心臓の音、聞こえちゃう…っ)




ドキドキと高鳴る胸の音。

その音が今にも龍之介に届いてしまいそうだと優衣は思った。




< 12 / 60 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop