たべちゃいたいほど、恋してる。②
(ずるい)
こうやって、龍之介は絶対に無理強いしたりしない。
そうやって簡単に優衣を甘やかす。
優しいから、ずるい。
見た目に反して紳士なのだ。
この大上龍之介という男は。
優衣が嫌がることは絶対にしない。
彼女が望むなら妥協案すらあっさり頷いてくれる男。
だからつい、優衣は彼の言うことを聞きたくなってしまう。
(き、緊張する…けど)
きっと触れれば龍之介は当たり前のように喜んで笑ってくれる気がして。
その笑みが見たくて、優衣はぎゅっと手のひらを握りしめ顔を近付ける。
ちゅっ
小さく、まるで子どもがするように一瞬だけ触れた唇。
ほんの一瞬、それでも龍之介の熱は確かに優衣に伝わっていた。