たべちゃいたいほど、恋してる。②
「どっか行きたいとこあんのか?」
小さく呟いた優衣の言葉に反応し龍之介が首を傾げる。
優しく問い掛けられたその言葉に、優衣はコクリと小さく頷いた。
同時にふわりと揺れる優衣の栗色の髪と落ちた視線。
しかし、何故かそこから先の言葉を口にしようとはしない。
不思議に思った龍之介が顔を覗き込めば、優衣は困ったように眉を下げギュッと唇を結んでいた。
それは優衣が言葉を濁すときのお決まりの表情で。
「どうした?」
龍之介が問い掛けても、うぅーと唸ったまま黙り込んでしまう優衣。
この表情の意味を知っている龍之介は何かあったのかと不安になったが、優衣の頭を撫でながら自然と次の言葉が出てくるのを待つ。