たべちゃいたいほど、恋してる。②
続く無言の時。
ただクーラーのモーター音だけが部屋に響いている。
暫くの間龍之介に頭を撫でられゆらゆらしていた優衣だったが、決心がついたのかゆっくりとその口を開いた。
「…遊園地に、行きたいの」
小さく、本当に小さく紡がれた声。
その声に龍之介の動きがピタリと止まる。
そんな龍之介に気付いているのかいないのか。
優衣の龍之介の服を掴む手に力が籠った。
どこか寂しそうに震える言葉の奥に隠したのは"思い出を上書きしたい"という我儘で。
思い出すのはメリーゴーランドの上から見たあの日の光景。
(今度は、最初から最後まで楽しい思い出にしたいよ)
そんな優衣の言葉の裏に隠された本音に気付けない龍之介ではない。