たべちゃいたいほど、恋してる。②
けれどそれを口にすることはなかった。
口にする必要はないのだ。
それを求めているわけではない。
ただ、優衣を抱き締める腕が少しだけ力を増す。
「そうだな。またメリーゴーランドでも乗るか」
まるで何も気付いていないとでもいうように、体を揺らしながら優しく相槌を打つ龍之介。
そんな龍之介の反応に、ふふっと優衣の口から声が漏れた。
その顔に晴れた笑顔が戻ってくる。
「龍くん本物の王子様になるの?」
「いや、なんねぇけど」
白馬に乗る龍之介を想像して一人上機嫌な優衣。
ニコニコと嬉しそうに両頬が緩んでいる。
それとは対照的に顔をしかめる龍之介だったが、優衣が嬉しそうならとその口元に柔らかな笑みを浮かべた。