たべちゃいたいほど、恋してる。②
あの春の日に離すことなく繋ぎ直した二人の手は、その体温を感じなから今この時を刻んでいる。
諦めなくてよかったと互いに何度も幸せを噛み締めていることを二人は知らない。
「龍くん、ぎゅーってしてほしい」
「ん。おいで」
求めるように手を伸ばせば、当たり前のように広げられる腕。
この温もりがなくなる苦しさを優衣は知っている。
悲しみを、知っている。
もうあんな思いはしたくないと、ぎゅっと抱きつくように身を寄せた優衣は龍之介の胸に頬をくっつけた。
トクトクと聞こえる心臓の音に体の奥から込み上げてくる幸せ。
「…大好き」
「俺のが好きに決まってんだろ」
額を合わせながら笑う二人を今日も太陽が照らしている。