たべちゃいたいほど、恋してる。②
カチャッと上品な音をたてカップを受け皿に置き小さく首を傾げる夏希に対して、勢いよく顔を上げ声を張る優衣。
響いた声に店内にいた数人の客が優衣へと視線を注ぐ。
だが優衣は気付いていない。
ただ夏希に向けられたその目には今にも溢れそうなほどの涙が溜まっている。
そんな優衣を"まぁ落ち着きなさい"と宥めながら、夏希は再びカップに口をつけた。
「別にね…うーちゃんがあげるんなら大上は何だって喜ぶと思うのよ」
そう。現在最も優衣の頭を悩ませている問題。
それは龍之介に贈ろうと思っているプレゼントについて。
優衣はそのことについてもうかれこれ数週間悩み続けているのだ。