たべちゃいたいほど、恋してる。②




夏希の言う通り、龍之介は優衣が送るものなら何であろうと間違いなく喜ぶだろう。

それこそそれがたとえ道端に落ちている石ころでも。


しかし、優衣はその言葉に納得出来ないでいた。

それには優衣なりのちゃんとした理由がある。


あれは二人が付き合い始めてちょうど一ヶ月が経った日のこと。


その日優衣の自宅に大きな花束が届いたのだ。


差出人はもちろん龍之介。


愛のこもったメッセージと共に届いた今まで一度も貰ったことのないそれに、優衣が玄関口で号泣したのは記憶に新しい。


更にその翌月には、デート帰りに立ち寄った龍之介の家で再び薔薇の花が優衣に贈られた。


一輪の真っ赤な薔薇はとても鮮やかに優衣の脳裏に焼き付いている。




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