たべちゃいたいほど、恋してる。②
その問いにまた嬉しそうに笑う新藤。
「実はここでバイトしたんだ」
聞けば新藤の家系は料理人が多く、彼の父親もパティシエらしい。
そしてこのカフェは新藤の叔父夫婦が経営している店なのだという。
新藤はこの夏からここでバイトをさせてもらいながらいろいろと教わっているというのだ。
どうやらケーキを運んでくれた人が新藤の叔父であり、この店のパティシエだったようだ。
今日のケーキは新藤が初めて一人で焼かせてもらったものだという。
焼かせてもらえたことがよほど嬉しかったのだろう。
その話をする新藤の瞳はキラキラと輝いていた。
それは料理を作っているときの龍之介と同じで。
無意識のうちに優衣はクローバーを握った手に力を入れる。