たべちゃいたいほど、恋してる。②
龍之介は顔だけを優衣の方に向けると、小さく"おう"とだけ返しゆるゆるとその頭を撫でた。
聞こえた返事と髪の毛を伝わる手のひらの感触に、優衣は顔を赤く染めて俯きながらへにゃりとだらしない笑みを浮かべる。
(うぅ…今日も格好いい…)
ジリジリと照りつける太陽の熱が少しずつ温度を上げていく部屋の中。
申し訳程度にかかっている冷房の下で、少しの感覚をあけて座る二人。
今、龍之介の家族はそれぞれの用事で出掛けている。
辺りにもあまり人はいないのか、外から聞こえてくるのは蝉の声と時々通る自転車の音だけ。
そんなこの場所でちらりと龍之介を横目に見ながら、優衣はドキドキする心臓をどうしたらいいのかわからなくなっていた。