たべちゃいたいほど、恋してる。②




その鋭さはそれだけで人を殺せそうな勢いである。


睨み上げてくる彼女の瞳に不信感を募らせながらも、龍之介は厳しい視線を向けることを止めない。




「…何であんたがこんなところにいるのよ」




そんな龍之介の視線に臆することなく低くそう問う井上。

ぶつかり合う視線の先に火花が見えたのは気のせいではないだろう。




「別にお前に関係ねぇだろ」




刺々しい彼女の物言いと突き刺さるような視線が龍之介のカンに障る。

そのせいか言い返す言葉が強い口調になってしまうのは自然なことで。


突っぱねるような龍之介の言葉に、井上は更にその目の力を増した。




「…まさか…まだあの子と付き合ってるとか言わないわよね…?」




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