秘め事は教卓の下で
彼氏がいるのに母校で。
「懐かしいな」
隣を歩く彼が声を弾ませる。
東京から久しぶりに地元に戻った私たちは、何年ぶりかに母校に訪れていた。
「俺らの教室。全然変わってねぇな」
彼に促され、私も当時を重ねながら、自分の席に腰を下ろした。
窓際の一番後ろ。
ここからよく、先生を見つめていた。
教科書を読みながら、隣を掠めるその瞬間が、たまらなくドキドキしたっけ。仄かに香る煙草の匂いも、耳に届くその声も。
私の心は先生でいっぱいだった。
「あれ…お前ら」
ドアが開き現れたその姿に、私の鼓動が一気に音をたてた。
懐かしい声と、少し大人びたその姿に、私の心が大きく揺れ動く。
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