Last flower【執筆中】
11.
「コトリが鳴くよーーー!!エーンて言って、ねぇ鳴くよぉぉぉぉ!!!」

朝食も済み、昼食までの自由時間になった。

カスカとユルカが建物内をふらふらと見て歩いていると、またあの太った女の子の泣き声交じりの大きな声が聞こえた。

開け放たれた窓の向こう。錆びた遊具が散らばった庭の真ん中で、

チャルが『アンコ』と呼んでいたその少女は、数人の少年に囲まれていた。

廊下の窓から外を見たら、彼女はどうも数人の少年達に苛められているようだった。

しゃがみこんで泣いているアンコを、蹴飛ばしたり頬を掴んだり髪の毛を引っ張ったり。

やりたい放題の少年達を見ているうちにカスカは段々怒りが込み上げて来た。

「カスカ、あの子達んとこ、行こ」

先に言い出したのはユルカだった。

けれども彼女はカスカのように少年達に対する怒りで動こうとしているわけではない。

ただただ、アンコを助けたいという気持ちで言い出したのだ。

二人は早足で、建物の外へと向かった。

「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい」

まるで念仏のように、誰にともなくアンコは呟きながら、

太くてはちきれそうな両腕で頭を庇いながら泣いていた。

しかし、駆けつけた双子達を見て、少年達はあっさりアンコに手を上げるのをやめ、

ジャングルジムの方へと走っていった。

涙でぐちゃぐちゃになったアンコは、しゃがみこんだまま私達を見上げて

「ありがとうございますぅぅぅぅぅぅぅぅー!!!」

と、大きな声で言い、ぺコンとお辞儀をして去っていった。

やっぱりなんだかちょっと、頭が弱そうな子だな、とカスカは思った。
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