Last flower【執筆中】
「なんでわかるの?」と、本当は聞いてみたかったけれど、もう一つの疑問を聞く方が先かも知れないと思った。
「カイ、なんでいっつも編み物してるの?」
「え?なんでってなんで?」
カスカを振り仰ぐカイの言葉は、突き刺さるようだった。
「だーからお前、なんでそーぶっきら棒なんだよ」
フォローするようにくしゃりと笑ってスイムが言った。
「だってそんなんどうでもいいじゃん」
「どーでもいーなら言ってもいーじゃんかよぉ」
スイムと会話をしている間も、カイの指の動きは止まらない。
数分、時が止まったようにカスカは感じた。
見上げると月は思っていたよりも、うんと近くにありコンパスで描いたように丸かった。
「…時間が経つのがわかりやすいから」
月に見とれていたら、ふいにカイの声がした。
「ここにいると、時間の流れがゆっくりで頭がガンガンする。
吐きそうになる。なんか作って形にして…ってのを繰り返す時だけ、少し気
が紛れてラクになる」
「パズルにはまってた事も、あったよなぁ」
スイムが笑う。カイが頷く。
「でも、あんなんじゃ全然気が紛れなかった。だから編み物にしたんだ」
独り言のように言うカイを見ながら、カスカはもう一度心の中で噛みしめた。
『私は、カイのことが好きだーー』と。
見知らぬデイジー。妹と一緒に殴り殺されてしまったデイジー。
知らない誰かのためにお祈りをするのは、初めてかも知れなかった。
カスカは胸の前で指を組み、そっと目を閉じた。
「カイ、なんでいっつも編み物してるの?」
「え?なんでってなんで?」
カスカを振り仰ぐカイの言葉は、突き刺さるようだった。
「だーからお前、なんでそーぶっきら棒なんだよ」
フォローするようにくしゃりと笑ってスイムが言った。
「だってそんなんどうでもいいじゃん」
「どーでもいーなら言ってもいーじゃんかよぉ」
スイムと会話をしている間も、カイの指の動きは止まらない。
数分、時が止まったようにカスカは感じた。
見上げると月は思っていたよりも、うんと近くにありコンパスで描いたように丸かった。
「…時間が経つのがわかりやすいから」
月に見とれていたら、ふいにカイの声がした。
「ここにいると、時間の流れがゆっくりで頭がガンガンする。
吐きそうになる。なんか作って形にして…ってのを繰り返す時だけ、少し気
が紛れてラクになる」
「パズルにはまってた事も、あったよなぁ」
スイムが笑う。カイが頷く。
「でも、あんなんじゃ全然気が紛れなかった。だから編み物にしたんだ」
独り言のように言うカイを見ながら、カスカはもう一度心の中で噛みしめた。
『私は、カイのことが好きだーー』と。
見知らぬデイジー。妹と一緒に殴り殺されてしまったデイジー。
知らない誰かのためにお祈りをするのは、初めてかも知れなかった。
カスカは胸の前で指を組み、そっと目を閉じた。