Last flower【執筆中】
18.
悪い夢は相変わらず続いていたけれど、カスカはその日、部屋で久しぶりにユルカと髪を編み合いながら遊んだ。
 
怖いほどに空が青い、眩しい昼下がり。

双子の髪はいっそう艶々と光り輝いていた。
 
ユルカの指がスルスルとカスカの髪を編んでいく。

時折頬に触れる手は、少し冷たくて柔らかかった。
 
「髪、伸びたね」
 
「うん」
 
この施設に来てから数ヶ月。いつの間にか背骨の真ん中辺りだった双子の髪は、腰の近くまで届いていた。
 
表面的にはまったくそっくりな二人だけれど、相変わらずカスカに初潮は来なかったし、テレパシーも使えなかった。
 
それらのことはなんとなく、二人の間で会話に出ることはなかった。

暗黙の、カスカにとってはあまり嬉しくない了解。
 
ユルカはどう思っているんだろうか。それも聞けない。
 
あの夜のことも、なんとなくカスカはユルカに話してはいなかった。
 
あの夜、カイとスイムと三人で見知らぬ姉妹を見送ったこと。
 
施設に来てから双子はなぜか、以前よりもどこかが不自然になっていた。

青ざめた空に舞う小鳥の声が、カスカには不穏に思えて仕方なかった。
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