Last flower【執筆中】
19.
憂鬱なほどの晴天に恵まれて、暖かい春の一日にバザーは行われた。
アンコのクッキーは本当においしくて、外から来た客達の間でも好評、
すぐにも売り切れてしまいそうな勢いだった。
汗みずくになってカスカ達は働いた。
思っていたよりも楽しい、とカスカは感じたが、チャルの姿が見えない事、
それにクッキー作りを一番頑張っていたアンコの姿が見えないことも気がかりだった。
それはユルカも同じだったらしく、
「ちょっと建物の中探してくるよ」
と、客が途切れた時に慌てて走っていった。
きょろきょろとよそ見をしながら廊下を走っていたユルカは、
ドンッという衝撃をいきなり受けて床にしりもちをついた。
「ごめん」
「あ」
そこに立っていたのは、カイだった。カイはユルカに右手を差し出した。
「ん」と言った。手に掴まれ、という意味らしかった。
ユルカはカイの手に掴まり、立ち上がった。
「あんた、何してんの?もう店終わったの?」
相変わらずぶっきらぼうだけれども優しく耳をなでる声。
ユルカはうまく説明が出来ず、うつむいたまま
「ううん。ちょっと…人探してて…」
とだけ言った。
「ふうん」
うつむいているユルカの目に、カイが左手に握っているビーズや石を使って出来ているネックレスの束が映った。
「それ、バザーに出すの?」
「ああ、うん。そう。作るの遅くて今までかかった」
「………」
ほしいな。とユルカは思った。すごく可愛い色使いの、
女の子なら誰でも手にとってしまいそうな素敵なネックレスだった。
何より、それを作ったのはこの男の子。カイだったから。
(カイだから?どうして?)
自分でも、よくわからなかったけれど、どうしてもほしいと思った。
アンコのクッキーは本当においしくて、外から来た客達の間でも好評、
すぐにも売り切れてしまいそうな勢いだった。
汗みずくになってカスカ達は働いた。
思っていたよりも楽しい、とカスカは感じたが、チャルの姿が見えない事、
それにクッキー作りを一番頑張っていたアンコの姿が見えないことも気がかりだった。
それはユルカも同じだったらしく、
「ちょっと建物の中探してくるよ」
と、客が途切れた時に慌てて走っていった。
きょろきょろとよそ見をしながら廊下を走っていたユルカは、
ドンッという衝撃をいきなり受けて床にしりもちをついた。
「ごめん」
「あ」
そこに立っていたのは、カイだった。カイはユルカに右手を差し出した。
「ん」と言った。手に掴まれ、という意味らしかった。
ユルカはカイの手に掴まり、立ち上がった。
「あんた、何してんの?もう店終わったの?」
相変わらずぶっきらぼうだけれども優しく耳をなでる声。
ユルカはうまく説明が出来ず、うつむいたまま
「ううん。ちょっと…人探してて…」
とだけ言った。
「ふうん」
うつむいているユルカの目に、カイが左手に握っているビーズや石を使って出来ているネックレスの束が映った。
「それ、バザーに出すの?」
「ああ、うん。そう。作るの遅くて今までかかった」
「………」
ほしいな。とユルカは思った。すごく可愛い色使いの、
女の子なら誰でも手にとってしまいそうな素敵なネックレスだった。
何より、それを作ったのはこの男の子。カイだったから。
(カイだから?どうして?)
自分でも、よくわからなかったけれど、どうしてもほしいと思った。