Last flower【執筆中】
チャルは結局、大人達の手に渡り
「どっかにあるけど知らない」と彼女が前に言っていた
火葬場へと運ばれてしまったようだ。
部屋中に飛び散っていたチャルの血も、
数時間で全て拭き取られ、何事もなかったかのように
元の部屋に戻った。
まるで、最初からチャルなど存在していなかったかのように、
けれども生々しく血の匂いが溢れる部屋は、
夜になってもしんと静まりかえっていた。
カスカとユルカはお互いに凭れかかって、
何も話さず座り込んでいた。スイムは
「あの牢獄に入れられなくても、
どのみちここは似たような環境だよなぁ」
と呟いた。
「この施設自体が牢獄だ」
カイが答えた。
そして『ここから逃げ出すしかない』という
四人の気持ちはいっそう強まった。
でも、一体、どうやって…?
まずはやはり、四人と同じく、この『牢獄』に放り込まれている
他の『囚人達』とも協力し合うことだ。
スイムはそう言ったが
「でも、全員が脱出に賛成するとは限らねーんじゃねーの」
カイはそう答えた。
そうかも知れない、とユルカも思った。
「ここから外に出たって、結局連れ戻されるパターン、
スイムも何度も経験したろ。それに」
誰もが今まで敢えて口にしなかった事をカイは言った。
「どこに行っても俺達の場所なんて、ない。
だからここにぶち込まれたんだ」
そう。彼らと彼女ら、もちろん他の『囚人達』も。
全員が、『S』か『M』だ。
逃げたところで居場所などない。
帰る家など、ない。
「どっかにあるけど知らない」と彼女が前に言っていた
火葬場へと運ばれてしまったようだ。
部屋中に飛び散っていたチャルの血も、
数時間で全て拭き取られ、何事もなかったかのように
元の部屋に戻った。
まるで、最初からチャルなど存在していなかったかのように、
けれども生々しく血の匂いが溢れる部屋は、
夜になってもしんと静まりかえっていた。
カスカとユルカはお互いに凭れかかって、
何も話さず座り込んでいた。スイムは
「あの牢獄に入れられなくても、
どのみちここは似たような環境だよなぁ」
と呟いた。
「この施設自体が牢獄だ」
カイが答えた。
そして『ここから逃げ出すしかない』という
四人の気持ちはいっそう強まった。
でも、一体、どうやって…?
まずはやはり、四人と同じく、この『牢獄』に放り込まれている
他の『囚人達』とも協力し合うことだ。
スイムはそう言ったが
「でも、全員が脱出に賛成するとは限らねーんじゃねーの」
カイはそう答えた。
そうかも知れない、とユルカも思った。
「ここから外に出たって、結局連れ戻されるパターン、
スイムも何度も経験したろ。それに」
誰もが今まで敢えて口にしなかった事をカイは言った。
「どこに行っても俺達の場所なんて、ない。
だからここにぶち込まれたんだ」
そう。彼らと彼女ら、もちろん他の『囚人達』も。
全員が、『S』か『M』だ。
逃げたところで居場所などない。
帰る家など、ない。