Last flower【執筆中】
6.
それを見た双子達は、またしても同じタイミングで、パッと顔を見合わせた。

するとその瞬間、狙いすましたような子供達の笑い声ー心の底から耳障りな騒音が、部屋中に響いた。

「オマエら動く時も一緒かよー!」「鏡みてー!」「どっちがどっちかわかんねえ!」

ギャハハハハ!!!

双子達は子供の頃から、こういったからかいには慣れていた。それでも不快なものは、いくつになっても不快なものだ。

しかも彼女達はこれからこの「ゴミ捨て場」で、要らなくなったこの子供達と一緒に、暮らして行かなくてはいけないのだ。

今朝早く無理矢理起こされて、叔父の車に乗っていた時から、ずっとわだかまっていた苛立ちが、カスカの感情を爆発させてしまった。

「うっるせーな!!黙れクソガキ!!死ね!!!」

あ、いけない!

叫んだ瞬間カスカは後悔した。ユルカの目は、またきらりと光り、じっと黙って揺れていた。

双子達を上手に見分けるには、その姿や声だけでは不可能だ。性格を把握するしかない。

ユルカはこういった場面で、決して声を荒げたりはしない。カスカはする。

怒りのツボが、違うのだ。簡単に言えばただ一つそこだけが、双子達の決定的な違いだった。

カスカの一喝で、今度は部屋中がシンと静まりかえってしまった。後ろの壁のチャルだけが下を向き、肩を震わせていた。どうやら声を抑えながら、笑っているようだ。

ふと見ると、編み物の少年は相変わらず顔色一つ変えずに、ずっと同じリズムで編み棒を動かし続けていた。その隣りの少年は、やはりチャルのように俯きながら笑いを堪えているようだった。

カスカが発した罵声のせいで、初日から双子達はいきなり孤立してしまった。

いや、むしろそれは大歓迎の成り行きだったのだ。ユルカと私は二人でいれば完璧でいられる。

無敵でいられる。カスカは本気でそう思っていたから。

何があっても私達はこれからずっと、死ぬまで一緒に生きていくのだから。
< 6 / 63 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop