背徳の××
背徳の××
放課後の図書館。
生徒たちは滅多に利用しないけれど、やっぱり司書はいなければいけないらしい。
「斎藤さん」
あ。
滅多にって言うのは少し語弊があるかもしれない。
目の前で微笑むこの男。
学年随一の秀才、岸田瑞希を除けば、の話だもの。
「いつも思うんだけど、本当に岸田くんって、受験生と思えないんだけれど」
私の目の前に腰掛けた岸田くんが手にしているものは参考書などではなくて、最近話題の小説だった。
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