恋の訪れ

昼休み。

また見てしまった。


お姉ちゃんと昴先輩が居る所を。

今日は食堂の出入り口の外。


高校生の出入り口じゃなくて、大学生が行き来する扉の外。


気になったから真理子にお手洗いって言って、近くで2人を覗き込んでしまった。

窓から見つめるだけだから声なんて全く聞えなかったけど、ただ2人はこの前とは違っていい表情じゃなかった。


昴先輩は顔を顰めたまま、お姉ちゃんが話してるのをずっと聞いてた。


…何してんの?

何話してんの?


そんな事、聞きたくても聞けない。

昴先輩は、あたしとお姉ちゃんを姉妹だと分かってんの?


別にどうでもいい事なのに、気になって仕方がなかった。

だからなのか、大半はそれが原因。


そんな悩みなんて抱えたくない。

サクヤ先輩は知ってるの?


「莉音、どうしたの?」


真理子の傍まで行くと、真理子は不思議そうにあたしを見つめてた。

これって、真理子に言うべき?

いや、別に言うほどの事じゃないし。


「ううん」

「もー今日は帰ってすぐ寝なよ。莉音、顔色悪いよ」

「…うん」


そう言って真理子は 心配そうに笑みを見せた。

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