恋の訪れ

その日の帰り、真理子と一緒に学校を出た。

今だにスッキリしない頭。

ぼんやりと言うか、身体までもダルイ。


明日は休もうかな、なんて思った時。


「弘晃も相変わらずだな…」


ボソリと呟いた真理子。

視線を辿ると、ヒロ君が彼女と歩いてる。


「……」

「最近なんかあったの?」

「…え?」

「莉音、元気ないでしょ?」

「そんな事、ないよ。ちょっと頭と耳が痛いだけ…」

「そうには見えないけど」

「ほんとにそうだよ」

「でもいつもより元気ないのは確かだよ。なんかあった?」

「ううん」

「弘晃の女に言われたの?」

「ううん、言われてないよ」

「じゃ、弘晃となんかあった?」

「…え、」


思わず目が泳いでしまった。

真理子はチラッとあたしを見ると一息吐く。


「莉音見てると分かるよ。弘晃か、それとも昴先輩か…」

「え、何それ…」


そう言ってあたしは笑ったのに。


「莉音見てるとバレバレ。なんかあったらいいなよ、聞くから」

「うん、大丈夫」


真理子はやっぱり勘が鋭かった。

でも、何をどう言ったらいいのかなんて分んない。
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