恋の訪れ
「あー…そうだ」
思い出したかのように言葉を吐き出した香澄先輩はチラッと視線を向けてくる。
「うん?何ですか?」
「あのさ、また香恋さんに聞いといてよ。お店の事…」
「あー…はい。って言うか、本気で香澄先輩キャバ嬢に…?」
「ま、やりたい事あるしなー…」
「エステ…でしたっけ?」
「そう」
「香澄先輩って凄いですね」
「えー…何で?」
「あたし夢、ないですもん」
そう言って、苦笑いをする。
「別にいいじゃん。好きな奴でも見つけりゃそれで幸せっしょ?なんだかんだ言いながら莉音は幸せそうだしね」
「…ですかね?」
「ですよ」
フッと笑った香澄先輩はやっぱりあたしの憧れだったりする。
将来エステ関係に進むと言ってる香澄先輩が凄く凄く素敵に思えてしまった。
「またお姉ちゃんに聞いたら連絡します」
丁度分れ道で手を振るあたしに、
「気をつけて帰りなよ」
微笑んだ香澄先輩にコクンと頷き、家までの道をトボトボ歩いた。