恋の訪れ
ガン見してしまっていた所為か、男は眉間に皺を寄せたままあたしを見る。
まるで“何だよ、お前”ってな感じで鋭い目つきを向ける。
そしてその男の視線を気になったのか女はスッとあたしに視線を向けた。
その所為でハッと我に返ったあたしは慌ててコンビニに入る。
見てしまった。って事じゃなかった。
真っ赤に目をした女があたしを見て睨んでたから。
まるで、何見てんのよ!とでも言いたそうにあたしを見てた。
フーっと息を吐き捨てたあたしは店内をウロウロと歩く。
今、出るにも出れない状況になってしまった所為か、店内を意味もなく歩く破目になってしまった。
暫く歩いて5分って所で限界がきてしまった。
用もないのにウロウロとし、結局買ったのは最初から決まってたレモンティーのペットボトルだけ。
そして恐る恐るドアを開けて顔を出すと、もうすでに2人の存在がなかったことに安堵のため息をついてしまった。
「…何、さっきの」
小さく呟いて、さっきの会話を頭の中で意味もなく整理してみた。
1回だけ誘った女が男に付き合えと…
それを面倒くさそうに断る男。
「…つか、悪魔じゃん」
あの男。