恋の訪れ

「あれ?香澄さんも居るじゃん」


真理子の声にすぐさま視線を向けると、ボールを弾く昴先輩の横で笑いながら居た。

なんで香澄先輩居るの?じゃなくて、なんで昴先輩が居るの?


もう、これは帰るしかない。

うん。帰るしかないんだ。


そう思って、気づかれないように踵を返して帰ろうとした瞬間、


「わぁー、莉音ちゃん、おせぇーよ」


サクヤ先輩にギュっと腕を掴まれた。


「え、何ですか?」

「ちょい付き合ってよ」

「はい?」


グイグイと足を進めるサクヤ先輩に続いて必然的に足が進む。

そして着いた場所が何故か昴先輩の隣で、


「香澄はこっち」


何故か香澄先輩はサクヤ先輩の隣に居て。


「今から対戦な」

「は?なんの対戦だよ」


昴先輩は眉間に皺を寄せた。


「この後、メシ食いに行くんだって。その予約をしに行く。負けた方が」

「「はぁ!?」」


思わず偶然よく昴先輩と声が重なった。


「一人で行くの寂しいだろ?だから二人で!ちなみにボールを弾くのは莉音ちゃんと香澄な」

「はいっ!?、聞いてないんですが…」


戸惑うあたしにサクヤ先輩は、


「だって今言ったからね」


なんて呑気に言う。

ってか無理。絶対無理。



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