恋の訪れ
やっぱ帰りたい。
帰りた過ぎて、また頭がフラフラする。
いつの間にかキューを握らされて球を弾くけど。
「馬鹿っ、お前ちゃんと俺の話を聞けよ!」
隣からの昴先輩の怒りの声が次々と飛んでくる。
「キャー凄いー、ねぇあたしって凄くない?ね、サクヤ?」
「おぉ、お前才能あんじゃね?」
目の前で喜ぶ二人に眉間に皺が寄る。
何よ、もう。
普段、香澄先輩って、いつもあんな感じじゃないのにさ。
なのに、テンションあげちゃって、全然楽しくないんだから。
「おい、聞いてんのか。お前がちゃんとやらなきゃ俺ら負けんだぞ」
「わかってる!でも出来ないんだもん」
「馬鹿だからだろーが」
「もぅ、馬鹿って言わないでよ…」
結局は負けてしまった。
しかも10-3で…
案の定、昴先輩には舌打ちされるし睨まれるし、最悪な事ばかり。
「じゃ、よろしくねー」
なんて言ってきたサクヤ先輩に、
「別に電話でもいいんじゃないんですか?」
って、素っ気なく言ってみたのに。
「だって見ないと部屋の大きさ分かんねーじゃん」
なんて言われた。