恋の訪れ
レモンティーを喉に流し込みながら、ついヒロ君の事を考えてしまった。
さっきの男と比べたらヒロ君なんて王子様だ。
絶対悪口を叩かないし優しいし繊細のヒロ君。
だけど、だけど何で女王な訳?
そこだけが理解しがたいところだ。
なんであの女なんだろう。
やっぱ、男ってもんは甘え上手な女がいいんだろうか…
もしも今、ヒロ君にスキなの。なんて言ったらヒロ君はあの女と別れてくれるんだろうか。
そこまで考えるあたしもあたしだけど、それほどヒロ君が好きなんだって、そう思う。
あっさり終わってしまった彼には悪かったけど、結局はあたしの心の中はヒロ君しかいなかったんだ。
「はぁ…」
思わず深いため息をついたあたしは気づけば家まで辿りついていて、その気ダルさのままドアを開けた。
「…ただいまー」
靴を脱ぎながらやる気ない声を出すと同時にパタパタとスリッパの音を鳴らす足音が聞える。
「あ、おかえり莉音」
エプロンで手を拭くママはニコっと微笑んだ。