恋の訪れ

「あっ、莉音、起きた?」


重い瞼を開けると同時に、目の前に真理子の心配そうな顔が現れる。


「新田さん、大丈夫なの?具合悪かったんなら休んだ方が良かったんじゃない?」


スッと目の現れたのは保健室の先生。

先生はあたしの額に手をあて、「うん。熱はないわね」そう言って、額から手を放す。


「どうする?今、昼休みだけど、帰る?」

「えっ、昼休みなんですか?」


咄嗟に出てしまった言葉に少し焦る。

いったい何時間寝てたんだろうと。


「そうだよー、莉音。全然、目覚まさないんだもん。ちょっとは良くなった?」

「…うん」


身体を起して、頭を数回摩る。


「莉音、どうする?」

「大丈夫だから授業受けるよ」

「あまり無理しないほうがいいわよー」


先生の声にコクンと頷き、「大丈夫です。ありがとうございました」そう言って、保健室を出た。


そして出た瞬間、


「おー、莉音ちゃん、大丈夫?4時間眠りっぱなしだったじゃん」

「あ、はい…」

「眠り姫ってやつ?」


サクヤ先輩は心配そうにあたしの顔を覗き込んだ。


「え、眠り姫って、」

「きゃー、やだー、サクヤ先輩!眠り姫って!」


声を上げて笑う真理子に思わず顔を顰める。

絶対、真理子、面白がってるし。
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