恋の訪れ
「うん。ただいま」
「どうしたの、そんな顔して」
「別に…。それよかパパは?」
「まだだけど」
「良かったー…」
なんてとりあえず、また安堵のため息を吐き出す。
「何、それ」
クスクス笑うママはパパと違って超優しいの。
あ、別にパパが怖いって訳じゃないけど、あたしに対してうるさい。
まぁ、見かけは怖いんだけど。。
「だってパパうるさい」
「心配してるからでしょ?」
「心配って、あたし高校生なんですけどー」
嫌味っぽくフイっと顔を背けると、
「ご飯は?」
背後からママの声が聞こえる。
「真理子んちで食べたからいらない!」
そう言ったあたしはスタスタと階段を駆け上がる。
その途中、「え、またなの?」なんてママの声が聞こえたけど、そんなの無視してとりあえず自分の部屋に向かった。
真理子んちに居れば大概真理子ママが“余り物”って、何かしら食べ物を運んできてくれる。
だから真理子んちに行った時は大概食べてて、もう家に帰った時にはお腹いっぱいの状態。
酷い時は毎日かってくらいの勢いだから、正直ママも呆れているに違いない。