恋の訪れ
パパはパパで何でか知らないけど、遅くなればウルサイし、お姉ちゃんはお姉ちゃんで性格悪すぎ…って言うか、あたしに対して偉そう。
ま、顔は確かに美人すぎる。背も高いしスタイルだって抜群。
誰がどう見ても美人で、なんであたしはお姉ちゃんみたいな顔じゃないんだろって、そう何度も思ったくらい。
お姉ちゃんには必ずしも“美人だね”って周りが言う。
なのにあたしには“可愛い”って。
その差が分かんない。
何に対しての可愛いなのかさっぱり分からない。
言われるのなら、可愛いより美人のほうがよっぽどいい。
暫くしてからお風呂に入り、ふと今日言われた香澄先輩の事を思い出した。
そしてペットボトルの水を飲みながらソファーでくつろいでる所に、
「あー…疲れたぁー…」
なんて派手な格好をしたお姉ちゃんがリビングに現われる。
なにしろお姉ちゃんはキャバ嬢。だから帰って来た時には酒の匂いでこっちが気分悪くなりそう。
これでも一応大学4年なんだけど。
「ねぇ、お姉ちゃん?」
グラスに麦茶を注いだお姉ちゃんは椅子に腰かけ、そう言ったあたしに視線を向ける。
「何?」
「あのさ、香澄先輩がさ、店の事聞いてきたんだけど」
「あー…うん。またあたしから連絡するわ」
「分かった」
「ところでアンタ、男出来たんだって?真理子ちゃんが言ってたけど」
だから思わず口に含んでた水を吐き出しそうになった。
あん…っの、真理子め!!