恋の訪れ
「は、はいっ!?い、今なんて言いました?」
何故かカチンと頭にきた。昨日の今日だから余計に頭にきた。
サクヤ先輩の腕を掴み、ドアから離して昴先輩を睨み上げる。
「だからお前を抱いても満足なんかしねーだろって」
「はぁ!?なんですか、それ。そんな事わかんないです!」
何をこんなにムキになってるんだろうと思った。
しかも、寝る寝ないの話でこんなにムキになるなんて。
でも昴先輩に言われたのが物凄く腹が立った。
昨日の今日なのに、まだ文句を言うの?
この人、何処まで性格が悪いんだろう。
「つか、なにムキになってんだよ」
案の定、思った通りの言葉を昴先輩は口にする。
だけど。
「昴先輩がムカつく事言うからです」
「別に言ってねーじゃん、お前と寝ても満足しねーって言っただけだし」
「それが酷いですよ。じゃ、わかりました。サクヤ先輩!行きましょう…」
「え、何処に?」
「決まってるでしょ?ホテルです!」
昴先輩にフンっとソッポ向き、サクヤ先輩の腕を掴んで足を進める。
「え、あぁ…って事で俺、莉音ちゃんに誘われたから一発ヤッてくっから。じゃーな昴!」
サクヤ先輩の弾けた声を無視して、あたしはひたすら先輩の腕を掴んだまま早歩きで駅近くまで進んだ。