恋の訪れ
「サクヤ先輩って、なんであたしと居る時いつも昴先輩の話をするんですか?」
そう言ったのにも関わらず先輩は「えー?」なんて惚けた口調で返す。
「なんか隠してますよね、先輩」
「隠す?何を?」
「それは一番、サクヤ先輩が知ってるんだと思いますけど」
「え、なんだろ」
「先輩って、昴先輩とはすごーく仲が良いんですよね?」
「んー…そうかな」
「じゃ、昴先輩の全てを知ってるんですよね?」
あたしはサクヤ先輩にまでも騙されてたんだ。
あの初めて出会った合コンとやらに居た先輩は、私の事を初めて見る顔だね。なんて言ってたけど、全然初めてなんかじゃなかった。
サクヤ先輩もずっとずっと前からあたしの事を知ってたんだ。
「えっ、昴の全て?いや、流石にそこまで俺も分かんねーんだけど。ほらアイツがどんな女と毎日セックスしてんのか分かんねーし」
「セ、セック…」
衝撃的な言葉に口までも戸惑う。
そんなあたしにサクヤ先輩はまたケラケラと笑った。
「あー、ごめんごめん。オブラートに包むの忘れた。毎日誰と寝てるのか分かんねーってね」
「ってか全然オブラートじゃないですけど」
「もー莉音ちゃん、そんな事で衝撃受けてたら本当にヤる時どーするの?昴なんて毎日だよ?なんなら俺、手伝おうか?」
「せ、先輩!!」
大声を上げて睨むあたしに先輩は「冗談、冗談」と笑いながらタバコをすり潰した。