恋の訪れ

「お願いですから真剣に聞いてくれます?」


真剣な表情でサクヤ先輩の顔を見つめる。

そのサクヤ先輩と目が合った時、


「てか莉音ちゃんもそんな可愛い顔で俺を見つめないでくれる?」


″ここ、ホテルだから″

そう付け加えられた言葉に、あたふたしながらも咄嗟に視線を逸らした。


「べ、別にそんなつもりじゃ…って言うか話逸らさないでくれません?」

「別に逸らしてるつもりないけどね」

「先輩って、あたしの事、いつから知ってました?」

「えー…いつって合コンした日?」

「…じゃ、ないですよね?ずっと前から知ってましたよね?」

「え、何で?」

「昴先輩がそうだったから」

「あー…そっか」

「そっか。ってなんですか?他に何か隠してません?」


再び視線をサクヤ先輩に視線を向けると、先輩は再びタバコを咥えた。

カチっと密かになるライターの音とともに、白い煙が舞う。


「何かって?」


タバコの煙と一緒に吐き出されたその言葉に、先輩は首を傾げた。


「あたしがいつも食べてる金平糖って知ってます?」

「え?あー…うん」


そう言ったのにも係わらず先輩は何故か、視線を軽く逸らした。

しかもその微妙な呟き。

密かにずっと思ってた。

金平糖は昴先輩がくれたもの。でも帰国子女だった先輩は数年の間、日本に居なかった。

その間もずっと毎年あったんだ。


それにサクヤ先輩は昴先輩に貸しがあるってずっと言い続けてた事。

きっとこれと関係があるんじゃないかって、ずっと思ってた。
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