恋の訪れ
「どれくらいの期間ですか?」
「えー…期間?」
「はい」
「もう随分と前だから分かんねーんだけど。小学生の間の4、5年?」
「はぁ!?何それ。その時からあたしの事、知ってたんですか?」
「そう。あの時の莉音ちゃん、めちゃめちゃ可愛かったよ。今はもっと可愛いけどね」
グっと近寄ったサクヤ先輩の顔に後ずさりする。
そしてニコっと微笑んだサクヤ先輩に思わず眉が寄った。
「だから話し逸らすのやめて下さいよ。まだ終わってないんですけど」
「もう、だから昴に聞けって」
サクヤ先輩の、もう勘弁してよ。って言う雰囲気に顔を顰める。その挙句、あたしまでもが疲れの限界を感じてた。
「…ちょっと休憩していいですか?疲れたんで」
軽く頭と耳を摩りながらソファーに横たわる。
実際聞くと衝撃的な事で、この訳の分からないことに神経を使いすぎたせいか耳に負担がかかる。
昨日の今日だし、気分は悪いままだった。
「つーか莉音ちゃんベッド行って」
「えっ!?ベッドって…」
「なんでそんなに焦ってんの?俺が襲うとでも思った?」
不敵に笑うサクヤ先輩が怖い。
「いや、だって…」
「襲うわけねーじゃん。ただ、ここで横になられたら俺、狭いから」
「あ、はい…」
横になった身体を上げ、サクヤ先輩を見ると狭そうにソファーの端で身を縮めてた。
だから素直にベッドに横になって、目を瞑ると、
「完全に寝ないでよ。俺、困るから」
背を向けた方向からサクヤ先輩の声が聞こえる。
「はい」
そう呟いたものの、あたしの記憶はそこで一気に途切れてた。