恋の訪れ
「まぁ、いいや。とりあえず行こう。もう来てるって」
真理子はあたしの腕を引きながらそそくさと足を運ばせて行く。
「…苦手だな」
「何言ってんのよ、上玉ばっかだから有り難いと思わなくちゃいけないよ」
「別にありがたくもないわ…」
「って言うかね、その先輩達と話せるだけで凄い事なんだから。普段は未知の世界の人達なんだから話してくれないよ?そんな人達と莉音は会うんだから感謝しないと」
「感謝って…」
そもそも、あたし頼んでないし!!
別に未知の世界の人だか何だか知んないけど、あたし会いたくないし。
それに今日だってヒロ君の顔見れたからそれだけでいいの。
それだけでもう満足なの。
そんな言葉を読んでるかのように真理子は意地悪っぽくあたしに笑みを向けた。
「莉音、アンタ今、弘晃の事、考えてたでしょ!」
鋭い突っ込みに思わず首を左右に振る。
「違う、違う」
「もう弘晃はやめなって!あんな女スキになんだからいい男じゃないってば!」
ここぞとばかりにヒロ君の事を台無しにしちゃう真理子は分かってない…
…分かってない。
…分かってない、…のはあたしか?