恋の訪れ

「わー、ほんとだ莉音。昴先輩が好きですって言ってるようなもんじゃん」

「違うし!!好きじゃないし!むしろ昔の男の子が昴先輩だったなんて未だに信じられないし嫌いだもん。それに先輩にはヒロ君が好きって言ってあるし」

「「はぁ!?」」


見事に真理子と香澄先輩の声が重なり辺りにその声が反響する。

あまりにも大きな声だったから、近くの人たちがあたし達に視線を向けて来る。


「ちょ、二人とも声、大きいよ。みんな見てるじゃん」


キョロキョロしながらあたしは身を縮める。


「あんた、何言ってんの?馬鹿でしょ!?」

「ほんと馬鹿だね」


真理子に続けて香澄先輩までも馬鹿って言う。


「ほら真理子たちだって、あたしの事、馬鹿って言うじゃん」

「だって馬鹿でしょ。なんでそんな事、昴先輩に言うわけ?莉音、頭おかしいでしょ?」

「ひどいよ、真理子」

「だってヒロくんの事、まだ諦めてないし…」

「はぁ…ほんとアンタの頭の中はお花畑だわ」

「ねー、莉音?それじゃあヒロくんに告りなよ」

「えっ!?」


思ってもない事を香澄先輩は言うもんだから声が裏返ってしまった。

目の前の香澄先輩はニコニコしてあたしを見つめる。
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