恋の訪れ
「だって、いつまでも想ってても仕方ないじゃん。告ってさ結果を出さないと」
「うん…でも、でもね…それはいいの」
だってその結果を聞くのが怖いから。なんて思った時、
「ほーら、莉音はね。弘晃に振られんのが怖いからだよ。もう結果見えてんのに」
「……」
真理子は意地悪そうにそう言った。
でもそれが何となく当たってそうで怖い。
だからヒロくんとの仲はこのままのほうがいい。
「だったらだったでさ、別にいいじゃん。それでスッパリ忘れられるじゃん」
″あたしだったらそうするけど″
付け加える様に言った香澄さんが何故か物凄い大人に見えてしまった。
そりゃ香澄先輩はさ、サバサバしててそんな感じかも知れないけど、あたしは違うもん。
そんなスッパリなんて忘れられない…
「だよねー、あたしも香澄さん派でーす」
なんて左手を高く上げちゃう真理子に眉を寄せた。
「も、もうあたしの事はいいから、ほっといてよ…。それよかさ、あたしこの後にね、髪染に行くんだ」
「「はぁ!?」
話を逸らそうと思って、ニコニコして言った言葉にまた二人は声を上げる。
「何、言ってんの、莉音?」
「うん、だからね。髪染に行くの」
香澄さんが目を丸くして言うもんだから、あたしは笑みを浮かべた。