恋の訪れ
「あ、あそこっ!」
暫く歩いて付いた場所は駅前のビックカラオケ店。
ここらじゃ有名で部屋数も沢山あって、高校生達の間では合コン広場と呼ばれている所。
思わず見上げてしまった建物に深いため息が出る。
終わるまで無言で居続けようかとか、体調が悪いから先に帰ろうかとか、そんな事を一瞬で考えてしまった。
建物の中に入った瞬間、さっきよりも憂鬱さがアップする。
このまま消え去りたい。…なんて思っても、真理子に繋がれている手でどうにも出来ない。
「ごめんなさい。遅れました」
ドアを開けた瞬間、真理子はそう言って対面で座っている男女に頭を下げる。
「いいよ、いいよー」
なんて上機嫌に口を開いた男に思わず打っ倒れそうになった。
「ちょ、ちょっと真理子!!」
真理子の制服をグイグイ引っ張ると、真理子はクスクスと笑い始める。
「アイツは無関係だから」
フフッと笑う真理子。
一番奥に座ってるのはどうみても真理子の彼氏。
香澄先輩と同じ学校の3年の先輩。
ありえないでしょ、普通!!
これ、合コンじゃないじゃん。