恋の訪れ
痛む心の傷跡
「げっ、莉音ちゃん」
月曜の朝、正門付近でばったり会ってしまったサクヤ先輩はあたしを見た途端に顔を歪めた。
「ってか何で染めたの?」
顔を覗き込みながらサクヤ先輩はあたしの髪をジッと見つめる。
「お姉ちゃんを目指そうと思って」
「は?香恋さん?」
「そう。知ってるんですか?先輩…」
「まぁ知ってるけど。でも何で?」
「お姉ちゃんって美人ですよね?」
「まぁ…な、」
「やっぱ先輩も思うんだ」
「ってか辞めたほうがいいって。前の方が絶対に可愛いから」
「可愛いって本気で言ってます?」
「うん、本気」
「って言うか、先輩だって物凄く派手な頭してますけど」
サクヤ先輩の頭に指さして目を細めて見る。
茶髪の髪に金のメッシュが入ってて、それを無造作に遊ばせてる先輩に言われたくない。
「俺の事はいいから。それより莉音ちゃん、もどしたほうがいいよ」
「もどしません」
「こりゃ昴もビックリだわ」
「はい?なんで昴先輩がでてくるんですか?」
「まーまーまー…それよりあの後、どうだった?昴とヤッた?」
「…あの後?」
「ほら、ホテルで」
忘れていたことにハッとした。
あたしサクヤ先輩をホテルに連れ込んだ後、昴先輩と居たんだった…