恋の訪れ
な、なんなの一体。
なんで昴先輩が出てくんのよ、関係ないじゃん。
染めたっていっても、物凄く茶色にしたわけじゃない。
薄い薄い茶色。
真理子より薄いもん。なんて、思いながら教室に入ると、
「ギャー!!」
その真理子の声が教室中に反響した。
「真理子、おはよ」
「あんたマジ染めてるし」
「だから言ったじゃん」
「しかも巻いてるし。やめたほうがいいよ」
真理子は顔を顰めながら、あたしの髪に触れる。
「さっきね、サクヤ先輩に出会ったら真理子と同じ事言うんだ」
「当たり前でしょ。もぅこれは莉音じゃなくなるわ」
「なんでよっ、」
「可愛い莉音は何処にいったの?染めるだけでこんなに変わるんだ。莉音…ケバいよ」
真理子は覗き込むようにあたしの顔を見つめる。
「ケバいって真理子のほうがケバいけど」
化粧だってバッチリだし明るい茶髪のボブの髪を耳に掛けてる所為で耳から輝かしいピアスが何個かキラキラ光ってる。
サクヤ先輩もだけど、真理子にだって言われたくない。
「ま、まぁ…あれだね。気をつけたほうがいいよ」
訳のわからないことを言う真理子に首を傾げると、真理子は深くため息を吐き出した。